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理事長挨拶

理事長  魚里  博

 眼鏡に関わる基礎的研究から新しい眼鏡の機能性評価、眼鏡調整や加工などの実務・応用面での研究報告や情報交換の集まりを目指して、1997年に「日本眼鏡学ソサエティ」が設立されました。2006年には名称を「日本眼鏡学会」に変更し、年次セミナー、オープンセミナー、学会誌「眼鏡学ジャーナル」の定期刊行を通して、眼鏡学に関する学会活動もほぼ定着してまいりました。
 このような本学会の創設・発展には、大頭 仁初代理事長、畑田豊彦前理事長を中心に、眼鏡技術者、レンズ・フレーム設計者、視覚研究者など多分野から多くの方々が協力され、眼鏡調整に必要な専門技術者である認定眼鏡士制度を学術面から支える活動も同時に推進してきています。

 この度、本学会第3代目の理事長職を引き継ぐにあたり、会員諸氏への学術情報の提供に加え、学会内に設けられている6つの研究部会を中心に、眼鏡技術に課せられている各種の課題や新しい機能などについても検討できる体制を整備し、眼鏡技術の新しい展開を生み出せる学術団体に発展して頂きたいと考えています。
 本学会の研究対象である眼鏡には、視力改善による“快適な視環境”の提供、生活環境による有害な刺激から“眼を保護する”機能、さらには装用者の“イメージや心境を可変可能な機能(=機能性)が備わっています。今日、眼鏡は単なるメガネではなく、視機能や視覚補助具だけではなく、多機能な情報デバイス化へ発展する可能性も有しています。
 本学会で取り扱える分野には当然限界は存在しますが、眼鏡が持つ力を最大限生かせる適切な眼鏡を人々に提供するのに必要な情報を探し出し整理することも本学会の重要な課題です。

 今日の少子化や高齢化はますます進んでいますが、その一方で各種分野での技術革新が急激に進み、我々の視環境も大幅に変化しています。外界感覚情報の取り込みは、視覚系からのものが80%以上と言われてまいりましたが、今日の高度情報化社会にあって、スマホや携帯電話機などの情報端末や4K、8K等の高精細映像端末、3Dや4Dあるいは仮想現実感(VR)、HMDやゴーグル型情報端末などIT(情報技術)の急激な進歩に伴い、一昔前とは比較にならない程桁違いの情報量増加にさらされています。平均寿命が80歳を超える昨今、高齢者の方々のQOL(生活の質)やQOV(視覚の質)を高める必要性が必須の時代でもあり、人々の視覚系に対するニーズもますます高まっています。高齢者の視覚の質や生活の質を向上させるためにも、最も安全で有効な眼鏡のシーズや技術を提供していく必要があります。
 少子化が進む近年、子供達の視環境も大きく影響を受けています。近視の進行問題もその一つです。我が国や東南アジア諸国(昔からその頻度が高い)だけでなく世界的に問題となっています。近視を予防しその進行を押さえるための眼鏡の各種試みもなされています。
 また、高齢化の影響で白内障などの眼科手術症例も増加し、眼内レンズ(IOLやICL)などの挿入症例も急激に増加し、単焦点だけでなく非球面、乱視矯正、多焦点などのIOLが挿入された偽水晶体眼も増加し、その追加矯正(補正)眼鏡には多くの困難さが伴います。
 さらに、近視などの屈折異常の補正(矯正)最適化問題には従来のような屈折度のみでは対応できなくなってきています。屈折力(角膜や水晶体)と眼軸長が臨床評価できる時代となって屈折異常も軸性か屈折性かを明確化して屈折矯正(補正)できる時代となって参りました。眼科医療での治療進歩だけでなく診断ための検査技術も日々進歩しておりますので、眼鏡の分野でも眼科医や視能訓練士などの医療分野との連携を推進し、より良い眼鏡を人々に提供できることが望まれます。

 眼鏡学会会員の皆さんと共に、より素晴らしく快適な視機能補助具の開発・提供を目指し、これまでの眼鏡の枠を超え、新しい情報表示技術についても検討できる学会へと発展させたいと思います。このような学会活動も、これまで眼鏡技術を培ってこられた会員の皆さんのご理解と積極的なご協力が必要です。改めて学会活動への皆さんのご協力を心よりお願い申し上げます。(2017年8月)

   
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